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失業保険をもらいながら職業訓練を受ける10のメリット【給付期間延長・受講手当支給・交通費支給など】


転職を決意し、希望の持てる新たワーキングライフに向かって舵を切ったとしても、そうそう簡単にはいかないのが、生活の糧を得るための再就職の件です。

当座は失業給付(失業保険)でなんとか凌げますが、そのまま漫然と求職活動をしていても前途が開けてこない感じの時は、少し視点を変え、「職業訓練」の受講を考えてみてはいかがでしょうか。


「職業訓練」は、正式名称を「公的職業訓練(ハロートレーニング)」と言い、就職するために必要なスキルや知識を身につけることができる公的制度です。

受講費は基本的に無料(一部テキスト代は自己負担)で、これから働きたいという意志があれば誰でも受講できます

しかも、公的職業訓練の制度は、求職者にとって極めてメリットが多い制度で、特に現在失業保険を受給している方にとっては、とても手厚い支援制度です


筆者自身もハローワークに何度か足を運んで説明を受け、また、実際に訓練を行う訓練所での説明会にも参加して、職業訓練制度について詳しく知ることができましたので、本稿では「公的職業訓練」、その中でも失業保険を受給している方が対象の「公共職業訓練」について、そのメリットを紹介します。

現在失業給付を受けている方、近く退職日を控えて転職活動中の方はもちろん、現在就業中ながら転職を決意し、次のステップを思案中の方にも、ぜひ参考にしていただければと思います。


失業保険受給者が利用できるのは「公共職業訓練

公的職業訓練(ハロートレーニング)には、以下の2種類があります。

1.公共職業訓練

雇用保険(失業給付)を受給している求職者が対象。訓練期間は3ヶ月から2年で、国のポリテクセンター・ポリテクカレッジ、都道府県の職業能力開発校や、都道府県から委託を受けた民間の教育訓練機関で、多様な訓練プログラムから希望するコースを選択できます。訓練期間中は失業保険の基本手当に加え、通所手当(交通費)や受講手当(上限40日分)が支給されます。

2.求職者支援訓練

雇用保険を受給できない求職者が対象。アルバイトやパート、フリーランス、専業主婦など、これまで雇用保険に加入していなかった人や、失業保険の受給が終了した人でも受けられる訓令制度。受講期間は2~6ヶ月で、基礎コースと実践コースに分かれています。訓練コースごとに厚生労働大臣が認定した民間の教育訓練施設で受講します。


詳しくは、厚生労働省のHP「ハロートレーニング」のページで、

「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像」を参照していただければと思いますが、現在失業保険を受給中か、失業認定を終えて給付制限期間中の方は「公共職業訓練」が対象になります。

今回は、こちらに絞って、受講のメリットと、受講までの流れを記します。

公共職業訓練のメリット

公共職業訓練には、無料で就職に必要なスキルや知識が身につけられること以外にも、いくつかのメリットがあります。

訓練受講者に対する支援制度はかなり手厚く、厳しい就職活動の渦中にある求職者にとっては、とても魅力的な制度となっています。

メリット1、受講料が無料

受講料は基本無料。コースによってテキスト代や資格試験の受験料などは自己負担の場合もあります。また、一部の長期講座は有料になりますので、事前にハローワークで確認するようにしてください。

メリット2、失業保険をもらいながら通うことができる

公共職業訓練を受講中も、所得保障として失業保険の給付を受けることができます。そもそも職業訓練は、求職者が就職するためのものですので、訓練受講中も求職活動は引き続き行うことになりますし、転職先が決まれば、その時点で退所し就職することも認められています。

メリット3、受講中は失業保険の給付が延長される

訓練中に失業保険の受給期間が修了する場合でも、訓練終了までは受給期間が延長されます。自己都合退職で給付期間が比較的短い場合などは、たいへんありがたい制度です。ただし、失業保険の給付期間が1/3以上残っていない場合は、給付延長が適用されませんので注意してください。

メリット4、給付制限期間が解除される

自己都合退職の場合、2ヶ月間または3ヶ月間(5年間で3回目以降の退職時)の給付制限があり、給付制限期間が過ぎるまでは失業保険が給付されませんが、公共職業訓練の受講者は、訓練開始時点で給付制限が解除され、すぐに失業保険を受給できます

メリット5、通所のための交通費が支給される

訓練所へ通うために公共交通機関、自動車等を利用する場合「通所手当」が支給されます。通所手当の月額は交通手段によって決まり、最大で月額42,500円が支給されます。ただし、住所から訓練所の距離が2キロ未満の場合は支給されません。

メリット6、受講手当が支給される

日額500円の「受講手当」が、最大40日分支給されます

メリット7、受講中は、認定日が免除。所定の求職活動回数も不要。

失業給付を受けるには、4週間に1度の認定日にハローワークに行って認定を受ける必要がありますが、訓練に通っている間は認定日は免除(訓練校が代行)になります。 また、認定日までに行わなければならない所定回数の求職活動も不要です。

メリット8、居場所、行き場所が得られる

転職活動の長期化は求職者にとってたいへんなストレスになります。書類選考を通過せず面接の機会もなかなか得られない場合には必然的に家に居る時間が長くなります。家庭での肩身も狭くなりがちな中、毎日通うことができ、求職活動と両立でき、しかも「求職活動のため」という体面も立つ訓練所は、ありがたい居場所です

メリット9、就職ブランク期間の正当な理由ができる

離職期間が長くなればなるほど企業の印象は悪くなりがちですが、訓練校へ通っている期間は“ブランク”の印象を軽減できますので、転職活動が長期化した場合でも、企業に前向きな理由で受け止められやすいというメリットもあります。

メリット10、就職先が見つかり次第、退所できる

就職が決まり次第、ただちに退所できるのも訓練校のメリット。受講料や通所費用が無料のため、かけた費用が無駄になることもありませんし、失業手当の給付期間を3分の1以上残した状態で就職が決定すると「再就職手当」ももらえます。


以上が、公共職業訓練のメリットです。

公共職業訓練のデメリット

公共職業訓練を受講することの制度上のデメリットは見当たりません。求職活動は引き続き継続して行いますし、就業先が決まれば直ちに退所、仕事に就くことができますので、訓練のために就職時期が遅くなることもありません。

デメリットというよりも、むしろ、これは個人の意識の問題になりますが、訓練所への通所が始まると学校に通っている気分になって、求職活動の意識が緩み、結果として離職期間が長くなるということは往々にしてありがちです。

また、これもデメリットというよりも、制度上の制約に関するものですが、それぞれのコースには定員があり、基本的に定員を超えた受講者を受け入れていません。人気のあるコースは定員の何倍もの受講申し込みがあり、選考に漏れれば受講できないことも、あらかじめ想定しておく必要があります。

ちなみに筆者の場合、申し込みをしたコースに定員の5倍の申し込みがあったそうで、残念ながら選考を通過することができず、やむなく受講をあきらめました。

不合格の理由は教えてもらえませんでしたが、選考時の面接での話の内容から想像するに、おそらく訓練受講の必要性(訓練の受講が再就職に必要である根拠)の面で、いささか弱かったのではないかと思います。

公共職業訓練の受講条件と手続き

手順1、ハローワークで求職の申込みをし、職業訓練の説明を受ける

公共職業訓練の場合、雇用保険(失業保険)の受給資格を有する求職者である必要がありますので、退職後、まずは最寄りのハローワークで離職票を提出し「求職の申込み」を行って受給資格の決定を受けてください。

求職の申込みを終えた後、ハローワークの窓口で職業相談を受けます。職業訓練に関する相談をしたい旨を伝え、相談窓口に行って説明を受けます

職業訓練の相談は、求職の申込みを終えていればいつでも可能ですが、失業保険をもらいながら職業訓練を受けるには、以下の条件を全て満たしている必要があります。

公共職業訓練を受ける条件

  • ハローワークに求職の申込みをしている
  • ハローワークが職業訓練が必要と認めている
  • 失業保険の給付期間が1/3以上残っている
  • 直近1年以内に公共職業訓練を受講していない



尚、失業保険の給付期間が1/3以上残っていない場合でも公共職業訓は受講できますが、メリットのひとつである訓練期間中の失業保険給付延長が適用されません

また、希望する訓練プログラムが定員を超過するなどして選考に漏れた場合に、再度同じ訓練コース、あるいは別の訓練コースに申込みをすることも可能ですが、その分日数が経過してしまいますので、訓練を受ける意思があれば、できるだけ早く相談し、申込み手続きをすることをおすすめします。

手順2、希望するプログラムを選択し、受講申込をする

公共職業訓練で開講されている訓練コースは、「ハローワーク インターネットサービス」の「訓練検索・一覧」から検索できます。


尚、令和4年7月1日から、公共職業訓練の対象に「求職者支援訓練」も追加されました。

求職者支援訓練のコースであっても、ハローワークからの受講指示を受けることで、公共職業訓練と同様の条件で受講することが可能ですので、検索の際は、求職者支援訓練のコースも合わせてチェックしてください。

ハローワークでは職業訓練の希望者に対して、「職業訓練が必要と認められ、適切なコースが選定された場合に」受講申込書を渡しますので、あらかじめ受講したいコースを調べ、ある程度決めておいてから、ハローワークでの相談に臨むと、受講申込書提出までの段階が短縮できます。


受講したいコースの募集締め切りとの兼ね合いもありますので、悠長に構えることはおすすめしませんが、

失業保険は4週間に1回の失業認定日から次の認定日までに、所定回数の求職活動(自己都合退職の場合3回、会社都合退職の場合2回)を行う必要があり、相談/申込書受取/申込書提出で、それぞれ1回の求職活動、計3回の求職活動になるので、段階を踏んで申込をするのも、場合によってはありかと思います


尚、各訓練所で個別の説明会も開催していますので、一度訓練所に足を運び、具体的な受講内容の説明を受けた上で、申込書を提出するのが賢明かと思います。


ハローワークで受講申込みを行うと、その場で受付処理をしてもらえますので、受付された申込書を訓練所に郵送(または持参)して、申込手続きは完了です。

手順3、訓練所での選考を経て、受講の可否が決定

あとは、所定の選考日に訓練所で実施される選考で、面接や、コースによっては筆記試験を受け、合否を待つのみとなります。

手順4、合否通知と、ハローワークへの結果報告

1週間ほどで、訓練所から合否の通知が郵送で送られてきますので、ハローワークに出向き結果報告を行います。

合格の場合は、選考結果通知書をハローワークに提示して「就職支援計画書」の交付を受けます

手順5、訓練受講中および訓練終了後

月に一度、あらかじめ指定された「指定来所日」にハローワークに行き、職業相談を行います

訓練終了後、就職が決まるまでは、引き続き3ヶ月間(訓練終了後3回目の指定来所日まで)月に1回ハローワークで職業相談を行います。


以上が、公共職業訓練の申込みから受講までの流れになります。


公共職業訓練の制度が、とても手厚い、求職者にとってありがたい制度であることは間違いのないところです。少々長い目で見て、必要なスキルを身につけた上で再就職したい方や、これまでのキャリアとは別の仕事での再就職を目指したい方は、選択肢のひとつとしてぜひ検討されることをおすすめします。


失業中の給付金受給ついて

最後に、退職後の生活の支えとなる給付金について若干ふれておきます。

既に失業保険を受給中の方にとっては周知の事柄かと思いますが、現在在職中で転職を考えている方は、意外と「知っているようで知らない」ことが多く、また、知っていると知らないとでは、受給できる金額や期間に大きな差が生じますので、念のため一読しておいていただけたらと思います。


失業保険の受給前に、正しく知っておきたい「退職理由」の規定

失業の際に支給される給付金といえば、誰もがまず思い浮かべるのは「失業保険」。

正式には「雇用保険」といい、この制度から支給される手当を「失業給付」や「失業手当」と呼んでいます。

失業保険についての詳細は、下記をご確認いただければと思います。

「雇用保険手続きのご案内 ー ハローワークインターネットサービス ー 厚生労働省」

失業保険(雇用保険)の手続きの中でもとりわけ間違えやすく、誤った認識のまま手続きを進めてしまうと、大きな機会損失、受給金額の損失になってしまうのが「退職理由」です。

一般に「自己都合の退職」と「会社都合の退職」では、受給期間や受給総額に大きな差があることは比較的よく知られていますが、この内容について正確に把握している人は意外と少ないのが現状です

結果、本来は自分が「会社都合の退職」に該当しているのに、「自己都合の退職」で申請してしまい、自覚しないまま大きな損失を被っているということがよくあります。

「会社が倒産したわけでもなく、クビになったからでもなく、自分が辞めたくて辞めるのだから『自己都合の退職』に決まっている」と、思い込む前に、念のため雇用保険制度上の区分を理解して、自分がどちらにあたるのかを正しく確認した上で申請することをおすすめします。

尚、退職理由についての詳細については、筆者の経験を交えて下記ページに詳述しましたので、ご参照ください。

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心身不調で休職中の場合は、退職前に「傷病給付金」の受給も選択肢に

在職中に心身を病んでしまったことで休職し退職せざるをえなくなった方は、そのまま「自己都合」で退職してしまう前に「傷病手当金」の受給を検討してみることも有効な手立てです。

退職する前に「傷病手当金」の受給が認められ、かつ退職後も就労できない状態が続く場合は退職後も延長できます

働きたい意志があっても、心身の病気やケガが理由ですぐに働けない場合は、雇用保険精度上、失業給付の受給ができませんので、この場合、あらかじめ失業保険の受給期間を延長しておけば、まず最初に傷病手当金の給付を受けた後に、心身の不調が回復した時点で、あらためて失業給付を受給することも可能です。

傷病手当金は「健康保険」の制度です。詳しくは下記をご参照ください。

「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)ー全国健康保険組合」


手続きや交渉を代行してくれる「給付金受給サポート会社」を利用するのも手

雇用保険制度や健康保険制度は、本来は失業や休職の際に極めて手厚い支援が期待できる、心強くありがたい制度ではあるのですが、利用者にとって最良・最大の給付金受給方法を教えてくれるものではありません

また、受け身で待っていれば制度が利用できるものではなく、かなり複雑で細かい規定を理解した上で、定められた書類を揃え、定められた方法で、定められた日時までに漏れなく申請する必要があります。

その結果、多くの求職者が、本来は受けられたはずの給付金を受けられず、しかも多くの求職者がそのことに気づかないままでいるというのが実情です。

特に、過酷な労働環境が原因で心身に不調を抱え休職や通院している場合などは、退職後の転職のことどころか、ともすれば退職のための手続にも困難をおぼえる状態で、給付金制度の最適な利用方法にまで、とても力を回せない状態であることが少なくありません。

受給金額の大小だけのことならまだ「やむえない事情だったんだから」と、あきらめることもできるかもしれません。

が、本来受け取れるはずの給付金が無いばかりに、生活難におちいったり、充分な転職活動ができないまま、望まない転職先を選ばざるをえなくなってしまうとなると事は深刻です。

そうなる事態を避け、時間をかけて心身の不調を癒すためには、退職に関する手続きや、給付金申請をサポートしてくれる民間のサービス会社に、手続きを委託するというのは、賢明な選択です。

尚、給付金受給サポート会社を選択する際には以下のことに留意してください。

料金・サービス内容が明瞭
②失業保険、傷病者給付金、いずれの実績も豊富
③アドバイスのみではなく、場合によっては行動を代行、またはサポートしてくれる。
④退職代行サービスにも対応している
成果報酬制(相談料金が発生しない)

全国対応が可能な会社としては、以下の2社が比較的よく知られていますので、心身に不調を抱えている方は、一度相談されてみてはいかがでしょうか。

退職コンシェルジュ


社会保険給付金アシスト



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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